育ちあいの視点

 

「普通ではない人」が「普通、平均的な人や環境」に合わせるべき、というのがこれまでの一般的な考えです。

 

 

例えば不登校の子は、学級への復帰が「目標」になります。

 

 

そして、その目標を達成できるか、できないかにとらわれます。

 

 

学校やクラスに復帰できないと、「不登校は解消されていない」という評価になり、復帰できると「不登校は解消された」と統計学的に処理されます。

 

 

だから一人ひとりの子どもは、不登校状態の自分をダメだと思い、不登校の解消が目標になります。親も同じように、不登校状態に悩みを抱えます。

 

 

自治体や学校は、不登校対策として色々な手立てを考え、カウンセラーや支援員を配置したり、適応指導教室という不登校の子が通う場所などを作ります。

 

 

発達障害の子は、適応できない通常学級から特別支援教室(や特別支援学級、特別支援学校)、療育施設に通ったり転校したりします。

 

 

これらの支援はもっと充実していくことを望む一方で、これらすべての現象の基本にある、最初に書いたような“普通ではない人が、普通、平均的な人や環境に合わせるべき”という前提、平均至上主義を見直す必要があると感じます。

 

 

数が少ない方が、数の多い方に合わせる、これが今の日本の教育現場です。

 

 

日本の、と書きましたが、よく使われる発達障害という概念は、アメリカの精神医学会が中心になって作ったものです。

 

 

それに当てはまるかどうかだけで、障害名がつけられたり(障害名がつくことで楽になるのなら、名前をつけることもありですが)、かなり限定的なことしか分からない発達検査で診断がされたりします。

 

 

でも、それが全てではありません。

 

  

知能テストや発達検査などという平均からのズレを図るものでは、低い=悪い、不適応という判断をされてしまうけれど、『低いから高いものがある』のです。

 

 

検査では分からない、人の温度を感じることができるか、個性の奥にある源泉のようなものに触れることができるか、いつも私はそこを忘れたくないなと思っています。

 

 

普通になることが目標ではなく、今の自分もいいかもと思えること、自分しかできない経験に誇りを持つこと、結果、元気が湧いてくることが目安になるといいなと思います。

 

 

 

自分にしかできない経験から、何を受け取ることができるでしょうか。

 

 

苦悩や問題という経験の中に、何を見出すことができるでしょうか。

 

 

 

お勉強が苦手だけれど、一緒にいると癒されるAちゃんから感じることを、Aちゃんにありがとうと伝えると(時に非言語で)、本当にイキイキと表情が輝きます。それは検査では測れないもので、発達障害の概念などでは説明できないものです。私が受け取ったものをお母さんに伝えると、すぐに気づいて「忘れていました」と涙を流して我が子への愛を再確認されました。

 

 

保健室登校をしていたBくんは、担任の先生が変わり、クラスに復帰しなくてはというプレッシャーから解放されました。それは、保健室に友達がやってきたり、先生が理解をして寄り添ってくれるからです。そのクラスでは多様性が認められる雰囲気で、助ける側と助けられる側の区別がありません。

 

 

あるお母さんは、学校に通えないCちゃんへの不安や焦りと向き合い、今の我が子のそのままの姿を受け入れていきました。母が現状を受け入れて、心底、今の姿にYESを出せるようになった時、Cちゃんもみるみる元気になっていきました。

 

 

Dくんは、起立性調節障害と言われ、体のトレーニングと中医学からのアプローチで元気になっていきました。得意な数学とも絡めて、自分の体力測定に夢中になり顔色が良くなってきました。最近では、放課後に友達と会えるようになりました。

 

 

Eさんの母は、我が子がHSC(ハイセンシティブな子)と理解することで長年の謎が解けました。これまで以上にEさんへの理解を深め配慮しましたが疲れてしまい、自分のハイセンシティブさに取り組んでいます。今、母娘の間に境界線を持つこと、母子分離をテーマに、日々成長できることに感謝が湧いてくるようになりました。

 

 

 

人それぞれ物の見方や感じ方は、思っている以上に違うのです。

自分を理解することと、人を理解することは一生をかけて育んでいくものです。

 

 

何が良くて、何が悪いかの判断はいりません。

 

 

いろんな角度から人を理解すること

自分への理解を深めることをはじめてみませんか?

 

 

誰かが誰かを裁くのではなく、

人と人とが出会うことでしか生まれない”育ちあい”の視点を持つと、今起きていることからたくさんのことを受け取ることができます。

 

 

そこに心開いていきたいです。