体が緩んで、緊張が解けて気持ちよく過ごしていたら、

体のどこかに潜んでた感情が「やっと顔をだせるよ」と出てきてくれた。


いい子だった女の子はこうやって、

いつかの感情を

やっと思い出すことができた。

 

たとえ表面的には怒っていたとしても、

どこかですごく安心している自分。


でも体は過呼吸になる寸前だった。


子ども達にも朝から怒鳴った。


誰もいなくなってからも、

部屋の中ひとり、出てくるままに吐き出した。


吐き出して疲れ果てて、呼吸が浅くなり

とにかく水のそばに行きたかった。


浮世から離れて、雲隠れ・・・


そんな言葉を思い出した。

箱根にある天山という温泉の、

そのフレーズ。


予定を全部キャンセルして、


東京駅から箱根に向かった。

向かう途中も、ずっと怒っていた。

通り過ぎる人、すべてに腹が立った。


呼吸が苦しくて

口をあけてぜぇぜぇ浅い呼吸をしてた。


駅で怒鳴り声をあげている男の人が目に入った。

狂ったような彼が、ぜんぜん怖くない。

あぁ、わたしだぁ、って思えるから。


「駅ナカで

大声どなるあの人も

今朝のわたしと何が違おう」


そんな、フレーズが浮かんだ。


まだ怒っていた。

とにかく、怒ったままでいた。


箱根湯本についたとたんに

ふーっと呼吸が胸の奥まで入り

助かった、と思った。


私は怒ったままでよかった。


そんな自分が愛しかった。


怒りの底には悲しみもあって

帰りにはちゃんと発熱できた。


すべての経験が愛おしいと

ただそのままでいていいんだと

言葉にしたらシンプルだけど、

それを伝えていきたいと思った。


そして、自分を現すことにためらわずにいよう。

詩のようなものができたので、書いておこうと思う。



「まるはだか 隠さず癒さず 我が胸は

手つかず川によく似たり

目に映る 言葉は消えて 揺れる影

影ありてこそ

七色輝く くもの糸

 

千賀子、箱根天山にて」